日本人なら「東南アジアの国」
「イスラム教徒が多い」くらいしか
知らない人も多いマレーシアとインドネシアだが、
実は2つの国の言語は歴史的に関係が
深くお互いが母語で話しても通じるといわれるほどだ。
しかし、経済的またはその他の問題から
様々な問題が起きていて対立もある。
マレーシアとインドネシアの言語の関係や、
問題についてまとめてみた。
目次
マレーシアとインドネシアの関係。戦争はあった?宗教の点では?
マレーシアとインドネシアは、隣国で宗教、
民族的にも同じであるがゆえに対立している。
宗教はともにイスラム教を信仰する人が多い。
これまでの歴史では、戦争とはいかないまでも
紛争やトラブルが頻発している。
マレーシアもインドネシアも石油や
天然ガスなどの資源産出国であることから、
アンバラット海域の領有権をめぐって
対立し国際司法裁判で争う事態が起きた。
農業でも、マレーシアとインドネシアは
プランテーションによる天然ゴムなどの輸出でも対立している。
パーム油の原料アブヤラシの全世界の
生産量の85%をこの2国が占めていて、
中国などへの輸出をめぐって競争している。
一人当たりのGDPを見てみれば、
マレーシアはインドネシアの3倍、
インドネシアの10人に1人は貧困層だと言われている。
こんな事情からインドネシアは
マレーシアに劣等感があるものの、
多くのインドネシア人がマレーシアに出稼ぎに行っている。
そこでマレーシア人に虐待されるなどの事件が起き、
インドネシアとマレーシアはますます仲が悪くなっている。
マレーシアとインドネシアの距離。地図で見てみると?
マレーシアは、南シナ海を挟んで
西のマレー半島とボルネオ島北部の東マレーシアから成る。
西マレーシアとインドネシアスマトラ島の
間にはマラッカ海峡がある。
東マレーシアの一部にブルネイがあり、
ボルネオ島南部はインドネシアの領土で
マレーシアとインドネシアは国境を接している。
だから陸移動が可能だ。
シンガポールが西マレーシアと陸続きのように見えるが、
西マレーシアとシンガポールは
ジョホール海峡によって切り離されており、
インドネシアとシンガポールは
シンガポール海峡によって分けられている。
地図をよく見ると切り離されていることがよくわかる。
西マレーシアのマラッカから
インドネシアスマトラ島のドゥマイまで
直線距離では約60km、フェリーで2.5~3時間ほどで行ける。
マレーシアでもインドネシア語が通じる?
マレーシアの公用語マレー語は、
現在のインドネシア、スマトラ島が発祥地で、
海上貿易を通じてマレー半島、
ボルネオ島に伝わったと言われている。
マレー語が公用語の国は、マレーシア以外に
インドネシア、ブルネイ、シンガポールで、
マレー語使用国としてタイ南部の一部と
プィリピンの一部がある。
ただ、インドネシアではマレー語と
言わずインドネシア語と言っている。
実はインドネシア語はマレー語をベースに変化したものだ。
インドネシア語とマレーシアの
マレー語は同じ言語を起源としているのだ。
そんなわけでマレー語にはインドネシア語が
含まれることになるが、シンガポールやマレーシアでは
マレー語と言い、インドネシア語とは言わない。
マレーシア人はインドネシア語を
知っているというのが一般的だ。
インドネシア人も同じだ。
マレー語の子供向けテレビ番組が放送されていて、
インドネシア人はマレー語がわかる人が多い。
マレー語とインドネシア語は、
スペルと発音が違うことが多い。
例えば、「病院」はマレー語でHospital(発音:ホスピタル)、
インドネシア語ではRumah sakit(発音:ルマ サキッ)
というようにかなり違う。
インドネシア語は自国語に置き換えているからだ。
発音の違いは、インドネシア語はrを
かなり舌を巻いて発音することだ。
「大学」はマレー語でUniversitiで英語に近い発音だが、
インドネシア語ではかなり舌を巻いて
Universitas(ウニフェスシタス)とUniの部分の舌の巻きが強い。
しかし、スペルや発音が似ているものもある。
例えば、タクシーは、マレー語でteksi(テクシ)、
インドネシア語でtaksi(タクシ)だ。
警官は、マレー語でpolis(ポリス)、
インドネシア語ではpolisi(ポリシ)だ。
インドネシアとマレーシアの大きな違いは、何と言っても人口!
マレーシアとインドネシアは
人口からいって大きく違っていて、
マレーシア3000万人、インドネシアは約2億5000万人と、
10倍近い差がある。
インドネシアはこれだけの人口を抱えているから
国民の経済的格差が大きく、貧困層が大きいのもうなずける。
人種構成は少し違う。
マレーシアではマレー系が多数(69%)を占めるが、
中国系23%、インド系も7%いる。
インドネシアではマレー系が大多数を占め、
中国系は5%ほどだ。
しかしインドネシアは14000以上の島に
2億5000万もの人が住んでいて、
スンダ人やバリ人など多くの民族があり、
マレーシアのほうが格差も少なく統一されている感がある。
マレーシアのほうが国が発達しているが、
物価が高い。都会的な暮らしが住みやすさ
と考えるならマレーシア、
のどかなところでのんびり暮らしたいなら
インドネシアのほうが住みやすい。
マレーシアとインドネシアの違いが
対立という形に現れてはいるが、
どちらも aseanを引っ張る大国だということは間違いない。
東南アジアの団結や協力のために、
この2つの国の存在は欠かせない。
まとめ
マレー語とインドネシア語は
かなり近く隣国でありながら、
利害関係や格差意識、
それを発端とした事件などもあり、
残念ながら関係がいいとはいえない。
しかし、情報化、グローバル化の中で
お互いを認め合う意識は高まっていくと期待できる。
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