自然も豊かで、観光スポットとして人気の淡路島。
実は、ここが淡路人形浄瑠璃で有名なのは、
意外と知られていない。
そもそも「人形浄瑠璃」が何かご存じないのでは?
今回は淡路人形浄瑠璃について紹介する。
淡路人形浄瑠璃とは?その起源と広がり
淡路人形浄瑠璃とは、
日本の国土が創世された際の神話「戎舞」を起源とし、
三人遣いの人形・義太夫(語り)・太棹三味線(伴奏)
によって演じられる、淡路島の伝統芸能を指す。
三人遣いの人形とは、「一体の人形を三人で操る」ことで、
「主遣い」と呼ばれる者が頭と右手の部分を操り、
「足遣い」と「左手遣い」がそれぞれのパーツを操って
初めて人形が上手く動く。
息が合わないとなかなか難しそうだ。
国が指定する、
重要無形文化財としても知られる、
この淡路人形浄瑠璃。
もともとは今から500年ほど前に、
淡路島に神事を生業していた百太夫という者が移住し、
その後当時人気の高かった人形操りを神事で行うように
なったのが始まりと言われている。
恵比寿様をたたえていて、
漁船の安全と豊漁を祈るために人形浄瑠璃は行われていたが、
百太夫亡きあとは家や土地、
船を守るための神聖な行事として定着し今に至る。
最盛期の江戸時代中期には40以上の人形座が存在し、
人形役者も1000人ほどいて淡路島だけでなく、
全国を回って人形芝居を伝えたそうだ。
しかし現在は衰退してしまって、
現存する人形座は、
淡路人形座1座だけになってしまった。
衰退した理由については諸説あるが、
人形芝居に従事する者が経済面での苦しさや修行の辛さに
耐えられなくなったことや、
単純に人形浄瑠璃自体の人気が他に奪われてしまったこと
が挙げられるだろう。
どの世界も極めるのは、
たやすい事ではないことが伺い知れる。
また、淡路人形浄瑠璃は海外でもとても人気で、
昭和33年ソ連での公演を皮切りに、
昭和49年にはアメリカ公演、
昭和53年にはフランス・スペインでの公演と続き
それぞれ非常に高い評価を受けたそうだ。
淡路人形浄瑠璃と文楽の違いとは?
ところで淡路人形浄瑠璃と、
文楽の違いはご存じだろうか。
見た目は大して変わらないような気もするが、
似ているようで全然似ていなかったりする。
もちろん共通するものもあるが。
淡路人形浄瑠璃と文楽の共通項は、
3人遣いの人形、義太夫、太棹三味線にて、
演じられること。
そして台本が同じとなっている。
そして相違点は以下の通り。
・人形の大きさが、
淡路人形浄瑠璃の方が大きい。
・淡路人形浄瑠璃は作品設定が江戸より前の時代である
「時代物」や「神事舞」を得意とするのに対し、
文楽は作品設定が江戸の町人の世界を演じる「世話物」や
「景事」を得意としている。
・文楽は男性のみで演じているのに対し、
淡路人形浄瑠璃は男女ともに演じている。
・繊細な動きをする文楽人形に対し、
淡路人形浄瑠璃は力強い動きをする。
・どちらかというとすました芸風の文楽に対して、
淡路人形浄瑠璃は観客によせた芸風を披露する。
人形・太夫・伴奏は同じなのに、
こんなに相違点があるとは思わなかった。
どちらが好みかは人それぞれだが、
俺はやはり人形の力強い動きを見てみたいから、
淡路人形浄瑠璃を推す。
まとめ
いかがだっただろうか。
人形浄瑠璃は普段お目にかかる機会がないだけに、
その由来について知らなかった方も多いのでは。
淡路島と聞いて思い浮かべるものは?
恥ずかしながら俺は、
瀬戸内海・明石海峡大橋・鳴門海峡くらいしか、
思いつかなかった。
この淡路島、どんなところかというと、
瀬戸内海で一番大きな島で、
兵庫県に属している。
大きさでいうとシンガポールと同じくらいで、
気候は温暖で雨量も少なく過ごしやすいようだ。
もしあなたが淡路島に旅行する際は、
ぜひ一度淡路人形浄瑠璃の世界を堪能してほしい。
人形が繰り出す力強い動きに、
あなたも感動すること必至だろう。
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